癌細胞を攻撃してくれる「NK細胞」は笑うことで活性化させられる!?
国立がん研究センターによると、日本で2016年に癌で亡くなった人の数は372,986人です。
さまざまな最新治療が導入されている癌ですが、ここでは特に癌治療に有効だといわれているNK細胞について詳しく考えていきましょう。
私たちの血液は「赤血球」「白血球」「血小板」の3つから成っていますが、白血球はさらに「好中球」「好酸球」「好塩基球」「リンパ球」「単球」の5つに分類されます。
このうちのリンパ球に属するのが「T細胞」「B細胞」そして「NK細胞」ということになります。
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「NK細胞」とは
近ごろ注目されている言葉のひとつに「NK細胞」というものがあります。
「NK」は「ナチュラルキラー(natural killer)」の略で、1970年代にアメリカのハーバーマン博士(Ronald B. Herberman)や山形大学医学部の仙道富士郎教授によってその存在が報告されました。
1978年からは米国国立がん研究所(National Cancer Institute)などで詳細な研究が進められるようになりました。
NK細胞とは文字通り「生まれつきの・天然の殺し屋」という意味ですが、この細胞には癌細胞やウイルス細胞を殺す力があることがわかったのです。
こういった特性を活かしてNK細胞による癌治療が始まったのは1980年代のことです。
NK細胞には「細胞」という名前が付いていますが実際にはリンパ球の一種のため、「大型顆粒リンパ球」と呼ばれることもあります。
NK細胞の働き
「天然の殺し屋」と聞くと恐ろしいと感じてしまう方もいるかもしれません。
NK細胞はもともと健康な成人の血中に一定数存在している細胞です。
殺傷力が強いのが特徴で、体内をパトロールしながら癌細胞やインフルエンザなどのウイルスに感染した細胞を見つけるとこれを殺して体内の健康を保ってくれる働きをします。
ところがこのNK細胞が何らかの理由で不活発になったり欠乏したりすることがあります。
そうなると感染症にかかりやすくなるのはもちろんのこと、慢性疾患や自己免疫疾患にかかったり、癌細胞が増えたりしていきます。
NK細胞は加齢と共にその数が減少していくため、若い人よりも高齢者のほうが感染や癌に対して無防備になります。
NK活性率が最大になるのは30代(約40%)ですが、70歳代になるとその数値は20%にまで下がってしまうことがわかっています。
私たちの体内にはNK細胞の他にも癌を殺すことのできる「細胞傷害性Tリンパ球(CTL)」というものがあります。
しかし、NK細胞と細胞傷害性Tリンパ球ではメカニズムが基本的に異なっています。
癌細胞というのは癌に特異なタンパク質が「ペプチド」という物質に分解され、癌細胞の表面にあるMHC-class I分子と一緒に存在した状態ですが、CTLはこういった状態にある細胞を見つけて殺す役割を持っています。
これに対してNK細胞のほうはMHC分子が発現していない細胞のみを殺す能力を持っています。
MHC分子というのは正常細胞が常時発現しているサインのようなものなのですが、CTLがこのMHCを発現している正常細胞まで無制限に殺してしまうのです。
これに対し、NK細胞はMHCの発現してない「尋常ではない」細胞だけを殺すという特技を持っているという点が違います。
ちなみにMHC分子というのは「主要組織適合遺伝子複合体」のことです。
ヒトにおいてはHLA(human leukocyte antigen-ヒト白血球型抗原)とも呼ばれています。
ストレスはNK細胞の大敵
NK細胞は生活スタイルや習慣によっても活性率がかなり違ってきますので、常にNK細胞を活発にして免疫のバリアを高くしておくことも大切です。
免疫力にとって最大の敵はストレスです。
いくら健康な成人でもストレスが大きいと神経を消耗してしまい、NK細胞の働きも不活発になってきます。
「病は気から」とはよく言われることですが、慢性的にストレスにさらされるとNK細胞の活動が滞ってしまいます。
そうなってしまうと、癌細胞を的確に殺せなくなってしまうのです。
「ストレス」という言葉は苦悩や悩みを意味する「distress」の頭の部分が消失したものですが、もともとは「ひとつのものがバラバラに切り離された状態」のことを指します。
このストレスを科学的に最初に説明したのがオーストリア生まれで後に教授兼実験医学研究所所長および国際ストレス研究所所長として活躍した生化学者H.セリエです。
彼によればストレスというのは「どんな質問に対しても答えようとする身体の反応」なのです。
つまり、怒りや焦り、不安といった感情や暑熱、放射線、毒物あるいは栄養障害などの化学的な刺激、天候や周囲の騒音など、どんな種類の刺激に対しても身体が同じ性質の生体反応を現わす、これがストレスの性質としています。
また、一説には重篤に至る病気のうちの約75%はストレスが原因だともいわれています。
結婚や出産などの喜ばしい出来事もストレスの原因となります。
ストレスが高じて病気まで至らないようにするためには早めにストレスを解消していくことが大切です。
ストレスが溜まってきたなと感じたらいつもより1時間早く就寝する、軽い運動をする、ショッピングに出かける、あるいは外食して気分を紛らわすなどの工夫をしてセルフケアを怠らないことが大切です。
例えば、お肉には抗ストレス成分がたくさん含まれています。
お肉に含まれるタンパク質は身体中の細胞の機能を高め、免疫力を強化してくれるという大きなメリットがあります。
特にストレスの多い生活をしている人にとってお肉に含まれるタンパク質は必要不可欠です。
それは、ストレスによって体内のタンパク質をたくさん消費していくため補給しなくてはならないからです。
1日に必要なタンパク質の量は男性で70g、女性で60g前後といわれています。
量としては、小さめのステーキで十分に補うことが可能です。
「身体に悪いから好きなお肉を食べないで我慢している」というのが身体には一番悪いことになってしまいます。
お肉の脂分も健康を維持するためには大切な要素です。
お肉を食べる習慣をつけると冷え性が改善されていきます。
冷え性というのはやっかいなもので、野菜中心の一見ヘルシーな食事をしていても一向に改善されません。
脂身も含めたお肉を食べ続けることで冷え性が改善されていきますので、これまでの食生活を一度じっくりと考え直してみるといいかもしれません。
冷え性の何が悪いかというと、寒冷もストレスの要因のひとつで私たちの身体の体温が1℃低くなると免疫力が30%も減少してしまうといわれているからです。
NK細胞は低体温では不活発になり、高体温では活性化するという特徴があります。
つまり、冷え性を治すことでNK細胞が活動しやすい環境を整えて癌になりにくい体質を作っていくことは非常に大切です。
フルーツも一見ヘルシーなイメージを与えますが、糖質が多くて身体を冷やしやすいものが多いので、たくさん食べないように注意して摂取したほうが健康にはいいのです。
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「笑い」はNK細胞を活性化させる
若くて免疫力に優れた健康な人でも、体内では毎日3000~5000個の癌細胞が発生しているといわれています。
これらの癌細胞はNK細胞によって消滅するわけですが、NK細胞の働きが何らかの理由で不活発になっていると癌細胞がNK細胞に勝ってしまい病気が進んでいくことになります。
NK細胞を常に活発な状態にしておくためにはストレスを溜めない、身体を冷やさないといった工夫が大切です。
その他に、これと合わせて毎日実践したいのが「よく笑うこと」です。
間脳は体温を維持したり免疫のコントロールを行ったりする脳の器官ですが、笑うとこの間脳に興奮が伝わって「神経ペプチド」という物質がたくさん発生します。
神経ペプチドというのは他のさまざまな細胞とくっついてホルモンや神経伝達物質として働く性質があるのですが、これが免疫力をアップする「セロトニン」や「ドーパミン」「レラキシン」の作用を活発にしてくれるのです。
ですから笑えば笑うほど免疫力がアップし、NK細胞が活発に仕事をしてくれるということになります。
被験者に漫才や喜劇を3時間見せて笑ってもらい、見る直前と見終わった直後に採血をしてNK細胞の活性度を調べる実験を行ったところ、被験者の68~72%ではNK細胞活性が有意に上昇したという結果も報告されています。
笑いは癌の発病を未然に防ぐ効果があるだけではなく、リウマチ患者の痛みを軽減したり糖尿病患者の血糖値を低下させたりする効能もあることも確認されているなど、そのため笑いは万病に効く特効薬といっても言い過ぎではないのかもしれません。
NK細胞をはじめとする体内の免疫細胞の約70%は腸内に存在していると言われます。
そのため、NK細胞を増やすには腸内の環境をベストコンディションに保つことが大切なポイントとなるのです。
乳酸菌が多く含まれたヨーグルトを食べるとよいという意見もあります。
NK細胞を活用した免疫癌治療も出てきている
治療に際してはまず患者本人の血液を50cc採取し、これを無菌状態で2週間ほど培養します。
2週間経って数億から数10億個に増殖したNK細胞を生理食塩水で薄めて患者の体内に静脈経由で戻すというのが治療の概要です。
健康な人の体内には約2億個のNK細胞が存在するといわれています。
そのため、相当数のNK細胞を注入することになります。
NK細胞による治療期間は病気の進行度合いなどによっても違ってきますが、だいたい3ヵ月が基本で、6回の投与が1クールです。
NK細胞を使っての治療は保険が適用されませんので、1回の治療には平均して120万円以上の費用がかかりますが、本人の血液を利用した治療法のため、副作用が少ないという大きなメリットがあります。
NK細胞を使っての治療法は「活性化自己リンパ球療法」と呼ばれており、他に「アルファ・ベータT細胞療法」や「ガンマ・デルタT細胞療法」などといったものもあります。
さらに免疫癌治療には癌免疫細胞だけを選択して攻撃するようにTリンパ球に命令を送る役目を持っている「樹状細胞(じゅじょうさいぼう)」を使用した「樹状細胞ワクチン療法」も効果の高い免疫治療として高い成績をあげています。
樹状細胞ワクチン療法にかかる費用は150万から220万円程度です。
癌の免疫細胞を行っている病院はまだまだ限られていますので、あらかじめよく情報を収集したり担当医に相談したりして最良の治療法を受けることが大切です。
癌細胞というのはもともと患者の体内にあるものですから、これを「異物」「敵」として認識して排除するためには免疫力が強くなければなりません。
何らかの形で免疫力が低下すると癌細胞をうまく排除できずにどんどん身体が癌に侵されていくことになってしまいます。
免疫療法というのは弱った身体が失ってしまった免疫力を回復させて病魔と戦うことを助ける、いわば、自然的な治療法ということができます。
免疫治療は他の治療法よりも比較的穏やかに作用しますが、それでも発熱や疲労、食欲不振などの副作用が見られることがあります。
また、100%癌が治癒するという保証も残念ながら現在のところありませんが、それでも延命効果は非常に優れていますので試してみる価値は大いにあります。
癌の治療というとひところまでは患部を切除する「手術療法」やイ抗癌剤によって癌細胞を死滅させる「化学療法」、そして病巣部に放射線を治療する「放射線療法」などが一般的でしたが、最近では副作用の少ない免疫治療が導入されるようになり、延命率も格段に向上してきています。
アメリカ映画「ミクロの決死圏」(1966年)も顔負けのデリケートな治療法はこれからも発展の一途をたどるばかり。
癌が「治癒の難しい恐い病気」のレッテルを剥がされる日が一刻も早く到来するといいですね。
まとめ
NK細胞には癌細胞やウイルス細胞を殺す力があります。
そして、その免疫力を活かしたNK細胞による癌治療が始まっています。
癌の免疫療法を行っている病院はまだまだ限られていますので、よく情報を収集したり担当医に相談しながら最良の治療法を受けることが大切です。
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