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再入院を繰り返す糖尿病患者も少なくない…再入院の原因と防ぎ方

平成29年に行われた厚生労働省の調査によると、糖尿病が強く疑われる者の割合は男性が18.1%、女性が10.5%という結果が出たようです。

この割合は、ここ10年ほどはほとんど横ばいで推移しているうえ年齢が高くなるにつれてその割合も高くなるという傾向があります。

糖尿病は一度かかると完治が難しいと言われる病気なので、年齢があがるにつれて糖尿病を患っている期間が長くなるということになります。

そして、糖尿病の患者さんは再入院を繰り返す方も少なくなく、その原因には合併症や生活習慣などさまざまなものが考えられます。

再入院を防ぐためには適正な血糖コントロールを続けなければなりません。

ここでは、再入院になってしまう原因やその防ぎ方などを詳しくご紹介していきます。

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1度入院した糖尿病患者の再入院の原因

糖尿病で入院し退院したものの再度入院を繰り返してしまう原因にはおよそ2つのものが考えられます。

合併症が原因となっている

・年齢が上がると再入院する確率も高くなる

ある調査によると、糖尿病では初めて入院する患者さんの年齢層に比べると再入院する患者さんの年齢層が高い傾向にあると分かりました。

これは、糖尿病が一度かかると完治が難しい病気であることを考えると当然と言えます。

・糖尿病になっている期間が長くなると合併症が起こる割合も高くなる

糖尿病による再入院患者の年齢層が上がるということは糖尿病になっている期間も長くなっている可能性も高くなるとも考えられます。

糖尿病を患っている期間が長くなると合併症が起こる割合も高くなります。

つまり再入院を繰り返してしまう原因は、糖尿病を患っている期間が長く合併症を起こす確率が高いためといえるでしょう。

教育入院したにも関わらず、生活習慣を改善できずに症状が悪化してしまう

・糖尿病の教育入院とは?

糖尿病は完治しづらい病気ですが適切な治療を続けながら血糖をコントロールすることで合併症の発症や病気の進行を遅らせることができます。

そのために糖尿病という病気のことを患者さんや支援する家族の方々に理解してもらうことを目的としているのが糖尿病の教育入院です。

・教育入院中は病院が血糖コントロールをしてくれるが、退院後はそれを続けることができない

教育入院中は病院側の指示に従って運動療法や食事療法をおこなっていくことになるので、すべてを医療スタッフにゆだねて血糖コントロールができます。

しかし、退院後はそれを自分でおこなわなければなりません。

入院中は糖尿病である自分と病院というシンプルな構図で病気と向き合っていくことができますが退院後はそうはいきません。

忙しくストレスの多い日常生活に戻っていく患者さんの中には入院中のようにしっかりとした血糖コントロールを実践できない方もいるのです。

そうなると症状が悪化して重症化し、さらに合併症を発症してしまい再入院となってしまうのです。

 

糖尿病の慢性合併症

糖尿病の治療は血糖コントロールをしていくことが重要となり、それがうまくいくと病気の進行を遅らせるほか合併症の発症を防ぐこともできます。

逆に血糖コントロールがうまくいかないと病気が進行し、合併症のリスクも高くなってしまいます。

糖尿病の合併症には、慢性のものと急性のものがあります。

慢性合併症は糖尿病の治療を長期間おこなわず、血糖コントロールもしないまま血糖値が高い状態が続くことで起こる合併症です。

糖尿病の慢性合併症には、主に以下のようなものがあります。

●神経障害

糖尿病神経障害は血糖値が高い状態が続くことで手足の神経に異常をきたし、さまざまな部位に痛みやしびれ、感覚異常などがあらわれる合併症です。

神経は多くの働きをしているため、部位や症状も多岐にわたります。

以下に主な症状をご紹介します。

<感覚異常>

皮膚の感覚に関わる感覚神経に異常が起こり、両足の先からしびれや痛み、冷えが起こり感覚が鈍くなります。

画びょうやガラスの破片などを踏んでも痛みを感じなくなることがあります。

<胃腸運動の異常>

食べ物の消化に関わる自律神経に異常が起こり、胸やけや吐き気、食欲低下や消化不良などが起こり、下痢や便秘といった症状が現れることがあります。

<心臓や血圧調節の異常>

心臓には感覚神経があり、血圧の調節には自律神経が関わっています。

心筋梗塞が起こっても痛みを感じない、あるいは血圧の調整がうまくいかずに立ちくらみが起きやすくなることがあります。

<四肢の異常>

運動神経の異常で、筋力低下や筋萎縮が起こることがあります。

太ももやお尻の筋力が低下したり痛みやしびれが起こったりするほか、足が変形してしまうこともあります。

他にも、目や顔面の異常や、泌尿器や生殖器の異常、発汗障害や血糖コントロールに影響する異常などさまざまな症状があるので、何かしらの異常を感じたら、かかりつけの医師に相談することを検討してください。

●網膜症

高血糖の状態によって目の網膜にある非常に細かい血管に異常が起こる合併症です。

この糖尿病網膜症は自覚症状がないので、気づかずに進行してしまうと最悪の場合、失明に至ることもあります。

逆に、早期発見できると血糖コントロールがうまくいっていない場合でも、レーザー治療などによって大きな出血を予防できることもあります。

糖尿病の患者さんは自覚症状がなくても年に一回以上は眼科で眼底検査をしてもらうようにすることをおすすめします。

●腎症

腎臓で尿を作る部位には非常に細い血管がたくさん集まっています。

糖尿病の期間が10~15年以上続き、その間血糖コントロールがうまくいかずに血糖値が高い状態が続くと毛細血管が傷ついてしまいます。

それが原因で起こるのが糖尿病腎症です。

この合併症が進行すると、腎不全を起こして透析が必要となります。

日本で透析を受ける患者さんの多くはこの糖尿病腎症だといわれており、患者さんも数も年々増加する傾向にあります。

 

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糖尿病の急性合併症

糖尿病の合併症には慢性的な症状のほか急性のものあります。

これは感染症や脱水、治療を中断する、甘い飲み物などを大量に摂取すると急激に高血糖の状態になることで起こります。

命の危険もある重篤な合併症なので速やかに適切な治療をおこなわなければなりませんが、合併症を起こさないように予防することも大切です。

このような糖尿病の急性合併症には主に以下のようなものがあります。

糖尿病ケトアシドーシス

・糖尿病ケトアシドーシスの起こる仕組み

糖尿病ケトアシドーシスは血糖値を下げる働きをするインスリンが足りなくなることで、インスリンの作用が弱くなって急に発症する合併症です。

インスリンは血糖をエネルギー源としてさまざまな臓器で使えるようにする働きをしながら血糖値を下げるので、そのインスリンの働きが悪くなると私たちの体は血糖をエネルギー源として使えなくなります。

そして、エネルギーが足りなくなると血糖の代わりに脂肪をエネルギー源として使い始めます。

血糖は使われずに血液中の血糖の濃度が高くなり、血糖値が上昇して最悪の場合は昏睡状態になってしまいます。

また、脂肪を分解してエネルギーとして使うときにできるケトン体という物質が血液中に増え、血液が酸性に傾いて(アシドーシス)しまうことで極度の脱水症状になります。

・症状

具体的な症状としては、のどが急激に乾くため大量の水を飲むうえ尿もたくさん出ます。

そして全身がだるくなり、腹痛や吐き気が起こることもあります。

命の危険もある合併症なので、症状に気がついたら速やかに医療機関の受診を検討してください。

・1型糖尿病の方がインスリン注射を打たなかったときなどに起こる

糖尿病ケトアシドーシスの原因はインスリン不足なので、1型糖尿病の患者さんがインスリンの注射を打たなかったときに起こることがあります。

また、糖尿病以外の病気によって通常よりもインスリンが多く必要となり、いつも通りにインスリン注射をしていたとしても不十分となってしまい糖尿病ケトアシドーシスが起きることもあります。

・2型糖尿病の方がソフトドリンクを大量に飲んだときに起こることもある

2型糖尿病の患者さんでも、ソフトドリンクなどの甘いジュースを大量に飲むと大量の糖が一気に体内に入り、これにすい臓が対応できず血糖値が急激に上がってしまい昏睡状態になることもあります。

・治療

入院して点滴とインスリン注射を受ける治療をおこないます。

高浸透圧高血糖症候群

糖尿病ケトアシドーシスと同様に、異常な高血糖が起こる急性合併症です。

インスリン作用が不足するのは糖尿病ケトアシドーシスほどひどくありませんが、血糖値が急激に上がり脱水症状や意識障害を引き起こします。

・インスリン作用が不足する理由

2型糖尿病の患者さんが感染症にかかる、あるいは脳血管障害が起こる、手術や高カロリー輸液を受ける、利尿薬やステロイド剤を投与するといった要因でインスリン作用が不足してしまうケースも考えられます。

この症状は上述した原因があってから数日後に発症します。

・高齢者の患者さんに多い

高浸透圧高血糖症候群は、高齢者の糖尿病患者さんに起こることが多く、肺炎や尿路感染症などの感染症、下痢や嘔吐などによる脱水、手術などへのストレスに加え、脳梗塞や心筋梗塞といったきっかけで起こります。

・治療

脱水症状を改善するための点滴による水分補給やインスリン注射で血糖値を下げる治療がおこなわれます。

 

糖尿病による再入院を防ぐには?

●療養上の相談相手を持つ

糖尿病の教育入院では、医療機関の糖尿病の専門家にさまざまな話を聞けるほか病気についての悩みなども聞いてもらうことができます。

また、患者さん同士で慰め励まし合うこともあります。

病気に対してポジティブになれるきっかけが多くあるのです。

ですが退院後はそういった機会が失われ、療養生活において困ったことや悩みなどがあっても相談する相手がいません。

退院後も専門家に気軽に相談できる機会があるとないとでは療養生活におけるモチベーションも違ったものになるでしょう。

●療養生活での支援者を持つ

和歌山県立医科大学の調査によると、教育入院をして退院後自宅での療養生活において家族などの支援者の有無によって再入院率が違うということが分かりました。

支援者のいない患者さんのほうが再入院する確率は高いようです。

このことから考えられる再入院を防ぐ方法は、退院後の療養生活で家族などの支援者を持つということです。

●退院後とのギャップをなくした血糖コントロールをする

糖尿病の教育入院では規則正しい生活を送るほか、適切な運動療法や食事療法をおこなっていけます。

ですが、退院後にも同様の生活を送ることはなかなか難しいでしょう。

入院中と同じような血糖コントロールをしていても血糖値が上がりすぎる、あるいは逆に下がりすぎることもあるでしょう。

そうならないためにも、入院中と退院後のギャップをなくせるように心がけつつも、ギャップを考慮に入れた血糖コントロールをおこなっていけるようにすることも大切です。

●入院しなくても糖尿病食を食べる機会を持つ

入院中は常に糖尿病食を食べることになるので、自然と糖尿病食に慣れていきます。

ですが、退院後は自宅で自分や家族が用意した食事をとることになります。

退院直後は記憶も新しく入院中と似たような食事をとれるかもしれませんが、次第に糖尿病食について忘れてしまうこともあるでしょう。

そうならないためにも、定期的に糖尿病食を食べる機会を持つことは大切です。

そうした機会を持つことで糖尿病食の記憶を新たにし、適切な食事療法を続けていきやすくなります。

 

まとめ

糖尿病は一度発症すると完治が難しいと言われる病気なので、生涯病気と付き合っていく人もいます。

ですが、教育入院などで自分の病気をきちんと理解しうまく血糖コントロールをしていくことができれば、合併症を防ぎ進行を遅らせることは可能です。

ただ、糖尿病を患う患者さんは再入院を繰り返すケースも少なくないようです。

これは糖尿病を患っている期間が長くなると合併症の発症する割合も高くなるなどに要因があるようです。

退院後もしっかりと血糖コントロールをしながら病気と上手に付き合っていき、合併症を予防するようにしましょう。

 

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ライター紹介 ライター一覧

木村 哲也

木村 哲也

株式会社イコールヒューマン代表取締役。生活習慣病の権威者である崇高クリニックの荒木裕院長と提携し、主に生活習慣病に関わる様々な情報を広く分かり易く提供中。

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