血圧がずっと高い!高血圧は病院の何科に行けばいい?
近年は家庭にも血圧計を置いている人が増えました。
ご家庭でも朝晩血圧を測定する人も増えています。
ある日、いつもと違って血圧が高かった、そしてその後もずっと血圧が高い、このような場合、病院はどの診療科を受診すればいいのでしょうか?
近所の町医者といっても、内科、消化器科と看板に書いてあるけど、そういう所でいいのだろうか?と、迷うこともあるでしょう。
また、健康診断で「血圧が高いですね」と指摘された場合、大きな病院で見てもらった方がいいのでしょうか?
まずは、高血圧について解説していきます。
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高血圧とは
日本の高血圧患者さんの数は、推定で4500万人と言われています。
50歳以上では2人に1人が高血圧です。
では、血圧の値がどれくらいまで高くなると高血圧なのでしょうか?
「テレビのコマーシャルでは上の血圧が130以上は高めと言われているけど、昔は160以上が高血圧じゃなかった?」と、医学的な知識に長けている人の中には、昔と今の基準値の違いを知っている人もいるでしょう。
その通りで、一昔前は160/100mmHg以上が高血圧だと定義されている時代もありました。
しかし現在は、以下ように定義されています。
収縮期血圧(上の血圧)120未満かつ拡張期血圧(下の血圧)80未満が「至適血圧」でベストな状態です。
収縮期血圧130未満かつ拡張期血圧85未満を「正常血圧」と呼んでいます。
そして、収縮期血圧130~139mmHgまたは拡張期血圧85~89mmHgを「正常高値血圧」と分類しています。
正常高値血圧は「気をつけた方がいいですよ」といった感じです。
「要注意」や「血圧が少し高め」と思うと良いでしょう。
収縮期血圧が140~159mmHgまたは拡張期血圧が90~99mmHgの場合を「Ⅰ度高血圧」、収縮期血圧160~179または拡張期血圧100~109をⅡ度、収縮期血圧180以上または拡張期血圧110以上をⅢ度と分類されています。
つまり、収縮期血圧(上の血圧)が140以上、拡張期血圧(下の血圧)が90以上で高血圧に該当します。
たった一度の測定で判断しない!
ここで気をつけたいのが、たった一度の測定だけで血圧が高いと判断しない方がよいということです。
血圧は常に変動しています。
健康な人であっても、テレビでスポーツ観戦をした後やケンカをした後は誰でも高くなります。
また、「白衣高血圧」と言って家庭で血圧を測ったときは高くないのに、病院で医師や看護師に測ってもらうと、急に血圧が上がるということも多々あります。
これは、病院で測定すると「高かったらイヤだなあ」などと緊張するからです。
中には医師がイケメンだった、看護師さんが自分好みの可愛い子だったということで、胸がときめいて血圧が上がる人もいます。
医療機関で血圧を測定して高い値が出た場合、通常は1~2週間、朝晩血圧を測定してその数値を記録してくるように言われるでしょう。
あるいは、お弁当箱くらいの大きさの心電図計を取り付けて帰り、24時間の血圧を測定するでしょう。
24時間ずっと10分から15分毎に血圧を測ることによって、どのような時に血圧が高いのかが判ります。
白衣高血圧とは逆に、病院ではおりこうさんの優等生に変身して血圧が上がらない患者さんもいます。
優等生の仮面をつけているみたいなので、「仮面高血圧」と呼ばれています。
病院で測ると正常範囲内なので「大丈夫ですよ」としばしば見落とされるケースもありますが、24時間の血圧を測定すると、このような仮面をつけている患者さんでも本性を見抜くことができます。
人間の血圧は、通常であれば寝ている時は低く、朝起きて活動を始めると徐々に上がってきます。
会社で嫌な上司に文句を言われている時や、お客さんに叱られている時、プレゼンで緊張している時、通勤中にイラッとすることがあった時などは血圧は一時的に上がっています。
時には上の血圧が200mmHg近くになることもあります。
血圧が高い状態が続いた場合は医療機関で詳しく調べる必要がありますが、たった1回高かっただけの場合は、慌てずに深呼吸をしてしばらく安静にしてから測り直してください。
多くの場合は、2回目や3回目は血圧が下がるでしょう。
しかし、測り直してもいつも高い場合や、血圧の高い状態が何日も続く場合は、医療機関を受診しましょう。
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大半は本態性高血圧
では、病院のどの診療科を受診すればいいのか?ということですが、高血圧の90~95%は原因が明らかではない「本態性高血圧(生活習慣病による高血圧)」と呼ばれる種類です。
この場合は、循環器科がベストチョイスです。
一般的には生活習慣病の1つだと考えられている状態です。
食生活の乱れ、ストレスの溜まる生活をしていないか、ストレス解消法はあるのか、タバコを吸っていないか、運動不足ではないか、などの生活習慣や食生活を見直しましょう。
それでも改善しない時は、お薬を使うのが一般的です。
血圧が高い患者さんの半数以上の人がお薬を飲んで血圧をコントロールしていますし、2剤以上服用している人も多いです。
ただ、お薬を飲むことに抵抗を示す人も少なくありません。
残りの5~10%の人は、何らかの疾患が原因で血圧が高くなっている人です。
この場合は、循環器科以外の診療科で治療を受けることになることもあります。
生活習慣病によるものではなく、何らかの病気が隠れている場合を「二次性高血圧」と言います。
この中で多いのが、慢性糸球体腎炎や糖尿病性腎炎、慢性腎盂腎炎などの腎臓病が原因で血圧が高くなっているケースです。
尿検査で尿に白血球や赤血球や細菌が出ていることで判るでしょう。
わき腹から腰にかけて鈍い痛みがあったり倦怠感などの症状が伴うこともあります。
これらの疾患が原因の場合は、循環器科ではなく腎臓内科などの腎疾患が専門の医師のもとで治療を受けましょう。
次いで多いのが、腎血管性高血圧と呼ばれるものです。
腎動脈の狭窄などで腎臓への血流が低下したために血圧が高くなります。
血液検査でカリウムの値が低くなっていたり、一般的にはあまり調べることがない検査項目ですがアルドステロンという値や血漿レニン活性という値が高くなったりします。
お腹を聴診すると、「キュイン、キュイン」と血管雑音が聞こえ、腎機能が低下することもあります。
この疾患の場合は、循環器科でOKです。
場合によっては、血管外科で血管を拡張させる治療や血行を再建させる治療が必要な場合もあります。
これらの疾患以外にも、原発性アルドステロン症やクッシング症候群、甲状腺機能亢進症などのホルモンの疾患でも血圧が高くなることがあります。
このようなホルモン異常が原因の場合は、内分泌科や内分泌外科で治療を受けます。
原発性アルドステロン症の場合は、腹腔鏡下で副腎を摘出するケースが多いのですが、この治療によって速やかに治癒が期待できます。
まれな疾患だと考えられていた原発性アルドステロン症ですが、実は高血圧の5~10%を占めているという報告もあります。
従来は、この疾患の場合は低カリウムが特徴的な所見だと言われていましたが、原発性アルドステロン症で低カリウムとなる患者は0~38%と必ずしも多くないことが明らかになりました。
大多数の原発性アルドステロン症の患者さんは生活習慣病による高血圧と非常に似ています。
そのため、大多数の原発性アルドステロン症の患者さんが見逃されて、生活習慣病が原因で血圧が高くなっているものとして治療されている可能性が高い、と考えられています。
おそらく血圧が下がらず、治療が難航しているでしょう。
甲状腺機能亢進症は20~40歳代の女性に多い疾患なので、50歳以降ではあまり見られませんが、脈が速くなったり、食欲が亢進してすごく食べるのに痩せてきたりします。
この場合も降圧薬ではなく抗甲状腺薬というお薬で治療します。
クッシング症候群は40~50歳代の女性に好発します。
手足は細いのにお腹周りなどの体の中心部分が太ってきて毛深くなったり、ニキビができたりします。
この場合も、降圧薬は使いません。
原発性アルドステロン症だけではなく、甲状腺機能亢進症やクッシング症候群などのホルモンの病気は、健康診断では検査項目に入っていることは非常に稀です。
そのため、気づかずに本態性高血圧として治療されていることが少なくありません。
また、高安動脈炎や膠原病が原因で血圧が高くなることもあります。
どちらも頻度としては少なく稀な疾患ですが、高安動脈炎も膠原病も女性に多い疾患です。
高安大動脈炎は中年女性に好発します。
発熱や疲労感などと共に急に血圧が高くなったり、上を向くとめまいがおきたりします。
血圧が右と左で左右差が起ることが特徴です。
血圧を測る時は、いつも左手で測る、とかいつも右手で測るという人も多いと思いますが、時にはいつもとは違う方の反対の腕で測定することも、この病気をいち早く見つけることに繋がるので大切なことです。
また、手首の脈が触れないこともあります。
血圧を下げる薬だけではなく、副腎皮質ステロイドや血液をサラサラにして固まりにくくする薬を使って治療します。
これらの場合は大きな病院の膠原病科で治療を受けることになります。
それ以外にも睡眠時無呼吸症候群や漢方薬の甘草の副作用で血圧が高くなっていることもあります。
二次性高血圧ではないか、検査が必要
血圧を測って高い値が出たから「はい、高血圧ね。お薬出しますね」という医者の場合、他の病院でも診察を受けた方がよいかもしれません。
血圧が高かった場合、二次性高血圧ではないことを確かめた方がよいです。
何らかの病気が隠れていて血圧が高くなっている場合、血圧を下げる薬(降圧薬)を飲んでも治療に抵抗してなかなか血圧が下がらないことが多いです。
きちんと降圧薬を飲んでいるにも関わらず血圧が下がらない場合は、二次性ではないかと疑うことが大切です。
効いていない薬を「もう少し様子を見ましょう」と、いつまでもダラダラと飲み続けるのは良くありません。
きちんと降圧薬を飲んでいるのに血圧が下がらない場合は、二次性を疑って大きな病院で詳しい検査を受けることをお勧めします。
本態性高血圧の場合も、動脈硬化が進んでいないか、心臓に負担がかかっていないかなどを調べておくことが大切です。
尿検査やホルモンの検査、頸動脈エコー、心電図などは町医者(開業医)でも可能な所が多いです。
それ以外にも、ランニングマシンの上を早歩きしたり走ったりして運動負荷をかけて心電図を取ったり、ABI(足関節上腕血圧比)やPWV(脈波伝播速度)と呼ばれる検査で動脈硬化が進んでいないか調べたり、時にはCTや血管造影なども必要になってくるケースもあります。
このような検査は大きな病院に行かないとできないことが多いので、紹介状を書いて貰いましょう。
血圧が高い場合、どの診療科を受診するのが良いのか?
血圧が高いことに気が付いた場合や、健康診断や人間ドックで血圧が高いことを指摘されて場合、まずは、循環器科を受診すればよいでしょう。
おそらく、血圧を測るだけではなく尿検査をしたり採血をして腎機能なども調べるでしょう。
また心臓に異常はないか心電図を撮ったり、24時間の血圧測定を行ったり、動脈硬化は進んでいないか頸動脈エコーで調べたりするでしょう。
色々と検査をして、二次性高血圧ではないことを確かめることが重要です。
血圧が高い場合、まずは生活習慣を見直します。
肥満の人は減量するだけで血圧が下がることもあります。
タバコを止めたら血圧が下がったという人もいます。
そして食事の見直しです。
運動も大切です。
このように生活習慣を改善しても血圧が下がらない場合は、降圧薬を服用するのが一般的です。
まずは1種類からですが、多くの場合は2~3剤必要になります。
これは、同じ薬の量を増やすよりも違う種類の薬を使った方が、副作用を防ぎやすいからです。
薬の種類が増えてるからといって重症なんだと思う必要はありません。
降圧薬を服薬しても効果がない場合、数種類の降圧薬を服用しても効果がない場合は、何らかの病気が隠れていて血圧が高くなっていると二次性高血圧を疑うべきです。
「きちんと薬を飲んでいるのに、全然血圧が下がらないじゃないの!」という場合は、二次性高血圧を疑って大きな病院で詳しい検査を受けるのも賢い選択肢の1つだと言えます。
この場合は、血液のホルモンの値に異常があれば内分泌科へ、尿検査で異常があれば腎臓内科へ行くのが賢い選択でしょう。
また、循環器科の中でも高血圧を専門にしている医師であれば、見つけにくいこのような疾患のことも頭に入れて診察を行うでしょう。
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